2014年12月1日月曜日

長野震度6弱“死者ゼロ”の背景に何があったのか?



長野震度6弱“死者ゼロ”の背景に何があったのか?

テレビ朝日系(ANN 1125 170分配信のニュースによると、家の中で救助を待ち、助け出された方々が大勢いるが、命が助かった共通点などは?


1)家が倒壊した方に話を聞きましたが、自分が助かった理由として一番多かったのは、「とにかく外に出ることだ」というふうに話していました。地震が起きた際に外に出るのは非常に危険ですが、今回の地震では、外にすぐに出た方は比較的、無傷で避難できています。

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外に出るかでないかは、もちろん場所と状況によって違います。木造の家で築年数が長い場合(1981年以前の住居)、そして、田舎などで、外に広いスペースがあり、上から落下物が無いところの場合、外に出るのが安全ということになります。もちろん、いざという時のために避難口に物を置かないなどの注意も必要です。ただし、都会の商店街などでは看板などが落下することが多々あり危険です。都心で比較的新しく建てられた頑丈なビルの中にいる場合、留まるほうが安全と思われます。

2)「たまたま自分の上にたんすが乗っかってきて、それが身を守ってくれた」

*コメント
これは「命の三角形」と呼ばれるもので、天上が抜け落ちて来たり(図A)家具が倒れてきた時、(図B、床と壁が直角に合わさっている三角形のスペースにいると、隙間が出来て、られることがあります。箪笥がしっかり固定されているならば、その脇の三角スペースが 全であることもあります。ただ、箪笥自体が倒れる場合は危険になります。また、命は助かっても近所の救援が無いと瓦礫に囲まれて脱出できない可能性が大きいです。家の階下の部屋の真ん中は天上が抜け落ちた時に一番被害を受けます。なるべく窓の無い、壁側に避難しましょう。


      

                         (A)                 (B)

  
こういう対処法というのは家の築年数、耐震性、構造、震度の度合いによって全くかわってきます。震度5くらいまでなら、いわゆるShake Out 訓練でやる、


         「伏せて、潜って、しっかり掴まる」


が有効です。耐震性の高いビルなら震度6以上でも、恐らくこれが一番有効でしょう。しかし、家自体が倒壊したり、天井が抜け落ちてくる可能性のある建物の場合、机もろとも押しつぶされてしまう可能性もあり、広場があるなら外にでるほうが安全ということになります。


3)何と言っても地域の強い「結び付き」
自分が助かった後も地域の方や友人をすぐに助けにいっています。そのなかには、暗闇のなかでも「助けて」という声を聞いただけで、その人が誰で、どこにいるのか瞬時に判断してレキュー隊を呼べたという話も聞いています。これだけ大きな地震が起こったなかでも「死者ゼロ」という結果につながった一番の理由は、やはり地域の強い結び付きだったのです。

*コメント
 阪神淡路大震災では自力脱出困難者の約8割は隣人に救助されている。地震直後は隣近所が鍵。しばらくして、落ち着いてくると広域ネットワークが役に立ちます。

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震度6は危機への境目

始め、NHKラジオで緊急地震速報が入った。大きな揺れが長野県付近で起るという。私が住んでいる東京都東久留米市では震度2くらいだろうか、部屋の電灯が揺れはしたが、恐れを感じるほどの揺れではなかった。そのうち長野では震度6弱と報告された。これは大きい。しかし、最初のリポートは役所の職員からのもので、机の上の書類は落ちてないという事だった。おかしい、震度6で物が落ちない訳は無い。災害初期段階では情報の収集が追いつかず、被害が大した事無いかのような印象を受ける。しかし、情報が無いことが被害が無いことではない。図のように震度5では大きな揺れであっても命にかかわるほどではないが、震度6以上は別世界となる。

(震度レベル)


案の定、翌日には家の倒壊が伝えられた。11月29日の時点で33棟が全倒壊、62棟が半倒壊。62名が避難所生活となっている。今回、震度6弱という激震で死者が出なかったのは奇跡的とも言える。同時に近隣の人々の防災における協力体制ができていたことが大きい。この震度にしては世界にまれに見る被害者の少なさだ。これは大きな励ましとなる。防災が減災につながるよい例であったと言える。
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今回の地震。長野県神城断層地震

2014(平成26年)1122228分頃、日本の長野県北部、北安曇郡白馬村震源として発生したマグニチュード6.7(気象庁による暫定値)の地震。隣接する小谷村および小川村長野市でこの地震最大となる震度6弱を観測した。余震活動は白馬村および小谷村に分布しており、震源断層はこの地域を縦断する神城断層(かみしろだんそう)である可能性が高いとされた。神城断層30キロのうち北部の10キロが動いたとみられている。南部に亀裂が及ぶ可能性もあり今後注意が必要だ。震源となった神城断層は、長野県から山梨県に延びる「糸魚川-静岡構造線断層帯」(フォッサマグナ)の北端部に位置し、同断層帯は140~150キロメートルに及ぶ日本最大級の活断層といわれる。  (写真は今回の地震でずれた断層)




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富士山噴火との関係は?

前兆も見られたという。糸魚川静岡構造線の西に位置する岐阜県飛騨市神岡町の地下水観測所では、8月から10月半ばにかけて、毎分130リットルだった流量が25リットルに激減した。 こういう情報は、事前に知っておくべきだったと思われる。

琉球大名誉教授・木村政昭氏は、こう語る。
河川の水位低下、地下水量の減少、道路の陥没は、地盤沈下で説明がつきます。日本最大の活断層・糸静線や富士山周辺の地殻が少しずつ下がっているのです。火山のマグマだまりはスポイトのつまむ部分みたいな構造で、断続的に刺激を受けていると、富士山のマグマだまりが刺激され、噴火に結びつく恐れは十分あります」

ちなみに木村教授は、独自の理論で、東日本大震災をピタリと当て、御岳山噴火を2年前に予測していた。その著書「富士山大噴火」(宝島社)では富士山噴火は2015年と試算している。

ちなみに、下図のように日本には約2000の活断層があるといわれ、そのうち評価が為されているのは110のみ。1995年の阪神淡路の活断層地震の発生確率は0.02%8%であった。「まさか!」という場所に起ってしまった。また、御岳山だけでなく、今も阿蘇山(マグマ噴火)、桜島は噴煙を上げている。京都大学火山活動研究センターの井口正人教授は、「桜島では今後10年以内には大規模な噴火が起こりうると考えている。定期的な調査を続けマグマの状態を把握したい」と話していました。研究グループは桜島の地下のマグマの量は大正大噴火の約90%まで戻っているという。避難計画も無い川内原発は大丈夫なのか?

日本全国に活火山は110もある。政府発表で南海トラフ地震、首都直下型地震いずれも発生確率は今後30年で70%という高確率。地震、火山の活動期に入った日本列島に原発がこれだけあるのは、どう考えても危険きわまりないのではないだろうか?




(活断層と原発)



(危険対象の火山)





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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士

栗原一芳 (くりはら かずよし)
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