2013年5月30日木曜日

防災 それ間違ってます (1)


防災に関して結構、多くの誤解があります。それらについて見てみましょう。

Q. 防災?どこから始めたらいいんでしょう?やっぱり食料と水の備蓄?
  
食料と水は生き延びてからの話です。阪神淡路大地震でははじめの5分で9割の方が亡くなりました。亡くなった方の8割は、地震直後に家屋の倒壊、家具の下敷きなどでの窒息死、圧死です。焼死も結局、下敷きになって動けなかった人が火災の餌食になってしまったのです。ですから、まず何と言っても家の耐震化(特に1981年以前に建築された住居は要注意です。どうしても耐震化ができな場合は少なくも、寝室を2階にしてください。家は倒壊しても2階に寝ていて助かった例もあります。)それから家具の固定です。震源が遠くても長周波地震動で高層ビルの上階は地上の震度より1ランクアップしてしまいます。地上が震度5でも上階は震度6の激震となります。オフィスならオフィス機器(キャスター付きのコピー機など)の固定、住居ならテレビ、冷蔵庫、タンスなどの固定をしっかりやってください。それらが動き回り凶器となります。3:11の時、ある練馬の高層マンションでは、8階ではほとんどダメージがなかったものの、11階では食器棚からお皿が飛び出てフロアーに散乱し、ベランダに出る重たいガラス扉が自然に開き、15階では冷蔵庫が倒れたという報告を聞いています。無防備なゆえの無駄な死に方は絶対にしないでください。南海トラフでも耐震化を8−9割進めれば建物災害は4割減らせるという試算も出ています。まず命です。


Q.  では備蓄は3日分で大丈夫?

南海トラフ地震では避難者950万人が出る「国難」です。つい、最近、被災地となる可能性のある地域では住民が1週間分の食料を備蓄するよう勧告がなされました。南海トラフでは被災地が広範囲に広がっており、道は寸断され、コミュニケーションも難しくなるので、通常4日目から搬入される食料の調達が難しくなるためです。また、食料より瓦礫の撤去や行方不明者の捜索などが優先されるからです。都心の高層マンションではエレベーターが止まり、陸の孤島となるので、1週間分あったほうが安心です。大きいマンションでは管理組合と話し合って共有できる備蓄方法を考える事もできます。住宅地でも町内会のような地域コミュニティの絆が震災前から強まっていれば助け合う共有の備蓄を考える事が可能になります。家庭の冷蔵庫や戸棚には通常の食料だけでも3日分くらいはあるのではないでしょうか?カセットコンロがあれば調理の幅が広がります。優先順位としては食料より水でしょう。


Q. ライフラインは1週間もすれば戻るんでしょう?

まず、最初に復旧するのが電気です。変電所のトラブルなら1−2日のうちに何とかなりますが、配電設備が被害を受けた場合は数日から1週間程度とされています。しかし、現在、東京の電力のほとんどは火力発電に頼っています。東京湾岸には12基の火力発電所があります。首都直下地震の場合は湾岸を震度6強から7の激震が襲います。火力発電所の倒壊、液状化、地盤沈下の可能性があります。さらに燃料の液化天然ガスは輸入なので、湾岸が落ち着くまでは輸送船が接岸できない事もありえます。そうすると停電が長期に渡る事もありえます。

ガスは震度5程度以上で各家庭のマイコンメーターにより供給がストップされます。これは各自で再スタートできます。震度6以上で大手ガス会社は地域単位でガスの供給を元から止めてしまいます。東京の地下に張り巡らされたガス管が破裂しダメージがあれば数日では回復しません。東京では地下水が上昇して来ている問題があり、激震→液状化→地下水の噴出と地盤沈下→地下配管の破裂はかなりあり得る話です。

水は上水道配水管に被害があると復旧完了までほぼ30日かかります。3日では復旧しないことを覚えておいてください。また、下水道にダメージがあればトイレの水を流せなくなります。飲み水と共に非常用トイレの用意は必須です。会社や学校には仮設トイレや簡易トイレの備蓄をお願いします。避難所でトイレを我慢して病気になる人も出ますので、深刻な問題です。避難所では女性にも配慮したトイレを十二分に準備してください。

(つづく)

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ワンポイントアドバイス
今、地震が起ったら・・・具体的にイメージしてください。

防災に関しては「想像力」がとても大事です。人はイメージできない事に対処できません。そうするとオロオロするだけです。

さあ、台所で料理をしている時、緊急地震速報を聞きました。どうします?
テーブルの下にもぐる前に大声で「地震が来る!」と家族に叫んで知らせてください。速報が聞こえてないかも知れません。数秒あったのでガスを消して、調理台から1mくらいのところにある食卓テーブルの下に隠れます。でもそこでは、料理している鍋が飛んでくるかも知れません。料理中なのでたまたま地震ロックをしてない食器棚からお皿が雨のように降ってきます。スリッパは履いてますか?激震では軽いテーブルの下に隠れてもテーブル自体が移動してしまいますので、できれば重たいしっかりしたテーブルの下に隠れテーブルの足に掴まってください。震度7では掴まってないと転がってしまいます。揺れが収まったので次の余震が来る前に玄関から外に出ようとすると下駄箱が倒れていて出口を塞いでいます。などなど前もって想像して、対策をしておいてください。


クラッシュジャパン次期東京災害対策室
crashkazu@gmail.com  (栗原)
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防災士って何?

大災害の時には行政もできることが限られています。防災を国や地方団体に任せきりにしないで、国民レベルでも地域自主防災組織を立ち上げたりして意識を高め、備えをしてゆく必要があります。そこで、日頃から防災について十分な意識と一定の知識・技能を持ち、防災リーダーとして総合的な防災力向上の中心となって、行政と住民、また支援団体などの防災関連団体との橋渡しとなる存在が必要とされています。「防災士」はそのような役割を担う存在として、自宅、職場での家具固定、防災講演や研修、演習の実施、地域防災訓練への参加、ラジオ、テレビ出演、被災地でのボランティア活動などに携わっています。

日本防災士機構認定の防災士になるには、防災士研修センター主催の2日間の講座に出席し、資格試験を受けます。また、消防署などで行っている救急救命技能認定も受けている必要があります。詳しくは以下のサイトへ

http://www.bousaishi.net/

2013年5月20日月曜日

自分の命は自分で守る



 次の大地震はどこか?

東日本大震災で太平洋プレートが東日本が乗った北米プレートをぐいぐいと押して陸地は西へ移動していたものが、3:11の大地震でエネルギーは放出され、逆に内陸が海のほうへ引き延ばされ、東に最大6m動いた。さて、現在、四国では過去70年に北西へ2.3m動いているという。つまり、フィリピン海プレートが陸側を押して来ており、エネルギーが蓄積されているということだ。エネルギーの歪み的には先ず、南海トラフ、そして北海道東方沖、そして、相模トラフとなる。現在の長期予測としては、東海地震発生確率は今後30年で88%。東南海地震は70−80%、そして、南海地震は60%程度。しかし、東海地震が遅れることで時間が経過すると東南海、南海地震の発生周期も近づき3連動になる可能性も高くなる。首都圏直下に関しては最近、東北大学がM7で5年以内に17%との想定を発表した。これは先に発表されている東大の4年で50%に比べると低いが、それでも大きな確率といえる。琉球大学名誉教授で海洋地質学者の木村氏によれば、富士山噴火は2015年までに起るという。世界的の歴史を見てもM9クラスの地震の後には必ず、近くの火山が大爆発をしている。


防波堤は大丈夫か?

(南海トラフ/東海地震)では4mの津波が名古屋湾を襲う。激震により名古屋港の高潮防波堤が液状化により最悪2.9m沈下してしまい、津波を防げない可能性が指摘されている。その場合、津波は湾岸地域を飲み込み、名古屋駅周辺にまで到達するとされる。湾岸の8000のコンテナが流れる凶器となる。

東京湾の堤防は3.5m。南海トラフ地震では3時間遅れとは言え、3m津波が押し寄せる。液状化で堤防が沈下すれば、浸水は避けられない。月島駅あたりは海抜0.9m。墨田区では海抜マイナス1.5mのところさえある。東京湾北部地震では、老朽化した水門に震度6−7の激震が襲う。水門は閉まるのか?東京都の想定では水害で死者は出ない事になっているが、どうも甘い想定ではないか? 地下鉄への浸水があれば大惨事に繋がる。2005年の水防法改正により、浸水想定区域や避難情報を住民に周知することが市町村に義務付けられた。2012年12月5日現在、1226町村で公表されている。


路上は大混乱

中央防災会議の見解では、首都圏に大地震が起こり、人々が帰宅を急いで外に出ると、1平方メートルあたりに6人というラッシュ時の電車状態に巻き込まれ3時間以上立ち往生する人が200万人出るという。しかも、都心の道路は液状化や落下物で決して安全とは言えない。「むやみに移動しない」が何と言っても基本。しっかりした比較的新しいビルであれば、ビル内のようが安全と言える。また、162万人以上が1ヶ月以上避難民となるという。仮設住宅は圧倒的に足りなくなる。東京は東京以外からの訪問者も多く、土地勘がないのでパニックを起こしやすい。地下ショッピング街、また、最近開発されている駅構内のショッピング街でも危機管理者を置き、避難指示を適切に出せる様、訓練が必要とされる。改札内は人の溜まるところではないということで、スプリンクラーの設置は義務付けられていない。しかし、駅こそ災害の時は人が溜まる危険な場所なのだ。


だから、自主防災が大事

ハザードマップなどは一応頭に入れておく必要はあるが、それに信頼しすぎない。人為的に与えられた想定に依存しすぎない。自然災害においては「想定外を想定しておく。」自らの命の安全を行政など誰かに委ねることなく、主体的にそのときの状況下で最善を尽くす。状況を見て、避難勧告を待たずに避難する必要も時にはある。率先避難者となり周りを避難させる事も大事。大規模災害などの場合、住民は災害発生から72時間は、公的な助けは期待できないので、自分自身で対応を行う心構えが必要となる。

レストランや宿泊場、劇場、ショッピング街に行った時は、先ず周囲を見て、出口、避難口、消火器、などを確認しよう。それから天上を見上げ落下物はないか、近くに倒れて来るような物はないか確認しよう。

まだまだ携帯ラジオを携帯している人が少ない。1000円以下でも購入できるので1つバッグに入れておいて欲しい。とにかく情報がライフラインとなる。そして大災害の時はコミュニティFMなどの地域密着情報が役に立つ。

総務省消防庁のツイッター@FAMD_japanや首相官邸(災害情報)@kantei_saigaiで災害関係の双方向情報を得られるので,これも参考に。

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クラッシュジャパンではご依頼により、都内での出張「防災セミナー」を行っております。お問い合わせは crashkazu@gmail.com(栗原)まで

2013年5月14日火曜日

自然災害大国 日本


2011年の国連大学のリポートによると、自然災害世界ワースト5が日本である。日本列島は国土の約7割が山地。しかも、ロッキー山脈のように岩山ではなく、土砂で、できているので地質は脆弱。日本には2000の活断層があるといわれる。うち確認され、長期評価されたのは、110に過ぎない。日本列島はヒビだらけなのだ。そして、日本は世界4番目の多雨国。世界平均の2倍の雨が降る。当然、土砂災害が起る。毎年平均して1000件を超える箇所で土砂災害が発生している。土砂災害危険箇所は全国で52万カ所に昇る。活火山は海底火山を入れて110。これは世界第二位。常時観測は47と半数に満たない。火砕流の内部温度は数百度、その流下速度は時速100キロ。火砕流の通った後は焼け野原で生存者はありえない。最近は台風や竜巻、による被害も増えている。都市部ではヒートアイランド化によりゲリラ豪雨が発生する。マンホールや排水溝で飲みきれず、内水氾濫が起る。都市型浸水被害の半数以上はこのケースである。

地震についてはマグニチュード8.0以上の大地震も世界の約2割が日本で起っている。日本列島の周辺には4枚のプレートがひしめき合っている。その中には最近活発化しており、南海トラフ地震を引き起こすフィリピン海プレートがある。北米プレートとユーラシアプレートの境界が日本列島の中央部を横断している。その境界が糸魚川・静岡構造線(大活断層)である。都市部の大地震は同時多発の火災を発生させる。また地盤沈下や液状化、長周期地震動を発生させる。海溝型地震は50−100年おきに発生し、内陸型地震は1000年から1万年の間隔で発生している。また、世界ではM9の地震の後、火山噴火が起っている。2011年東日本大震災の発生直後に東北から関東にある13の火山の周辺で地震活動が一時活発化した。3月15日には富士山直下を震源とするM6.4の地震が発生。震源は富士山のマグマ溜まりの直上だったそうだ。噴火しなかったのが奇跡と言われている。

日本がそういう国であることを認識し、偽りの安全を吹聴するより、危険を踏まえ、しっかりと防災をし、減災をしてゆくことが大切だ。国難といわれる南海トラフ地震でも防災努力によって犠牲者を8割、建物被害を4割減らせるという想定が出ている。事前対策がなにより重要なのだ。災害においては1ドルの投資が災害後の7ドルの節約となるという。そのために、まず危機管理を日常に根づかせること。アメリカの会社では過半数の大企業で危機管理役員を置いている。日本では約2割に留まる。2011年11月に内閣府が実施した調査によれば、事業継続計画(BCP)の策定率は大企業で約46%、中堅企業で約21%という状況である。2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」の実行計画において、事業継続計画の策定推進や実効性の向上が盛り込まれ、2020年までに実現すべき成果目標として、事業継続計画の策定率を大企業はほぼすべて、中堅企業は50%以上とすることが揚げられている。

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CRASH JAPANでは、「大地震に備える防災セミナー」等行っております。お問い合わせは、crashkazu@gmail.com (栗原)まで