2012年6月1日金曜日

大都市ならではの問題



 我々の生活はどうなるのでしょう? 一番問題はライフラインの停止です。以下、東京湾北部地震の場合の東京都の試算です。

ライフラインの復旧
 
停電    110万棟       復旧目標  6日
断水人口  390万人       復旧目標 30日
ガス停止  110万棟       復旧目標 55日
通信不能(固定電話)74万回線   復旧目標 14日

電気経路の修復なら割合速く復旧しますが、東京の電力の50%は東京湾岸にある12基の火力発電でまかなっています。従って、それらの発電所が破壊されれば、電気の供給に影響が出ます。3:11の直後には、それらの発電所で液状化現象が起こっていました。そして、断水の回復が30日とは!3日分のウオーターボトルで足りるのか心配になります。さらに、大都市ならではの問題があるのです。


大都市ならではの問題
近代化した首都東京で震度7は経験したことがありません。なにしろ政治、経済、メディアの中心である首都、日本の頭脳なのです。そして、人口密集の度合いが全く違うのです。3:11の東日本大震災とは全く違った3大難民が発生すると予測されています。以下は防災ジャーナリスト 渡辺実の「都市住民のための防災読本」(新潮新書)を参考に他の情報も加えてまとめてみます。

      高層難民
      帰宅難民
      避難所難民

A. 高層難民
高層マンションに居住の場合、1週間程度難民となる可能性あります。直下型地震では、首都圏のマンションで18万基のエレベーターが停止。1500名が閉じ込められる予測です。都内のオフィスを入れると12000人の閉じ込めが予想されています。震度6以上では道が瓦礫で埋まり車が通れなくなる可能性があり、従って管理会社が到達するのには1週間後ということさえありうるのです。そして、エレベーターが停止すると高層マンションの上層部に住む人々は「閉じ込め」状態となってしまいます。「階段があるでしょ」と言うかも知れません。私は若い頃、10階建ての10階に住んだ事があり、運動のため階段を昇ったことがありますが、かなりきついです。ましてや高齢者では。また、近所の避難所で物資配給が始まっても、下に降りて小学校などに取りに行き、配給物資を持って昇って自分の部屋まで戻らなければなりません。階段で昇れるのはせいぜい5階までが限度で、配給物資を持ったまま高齢者が10数回の階段を上り下りする事は現実できないのです。つまり、1週間は取り残されたまま生き延びる用意をしておかなければならない事になります。この本では5階ごとに水や、物資を保管しておくことを提案しています。

B. 帰宅難民
大地震が起これば、電車は止まります。東京都の試算では帰宅難民が517万人となっています。内閣府中央防災会議の被害想定では、冬の午後6時なら首都圏で650万人、東京都内で390万人が帰宅難民になる予定です。ちなみに帰宅難民ワーストターミナルは以下の通りです。

1.東京駅 14万2千人
2.渋谷駅 10万3千人
3.新宿駅  9万1千人
4.品川駅  8万9千人
5.池袋   8万5千人

公共施設やコンビニが「帰宅支援ステーション」として、水、トイレ、情報を提供することになっていますが、現実、コンビニもガラスが割れ、商品が散在。水を提供といっても断水。しかもトイレは1つ、店員もパニックしている状態でどこまで対応できるかは疑問なのです。トイレは大問題で、中央防災委員会の発表では、東京23区で81万7000人がトイレに行けなくなるというのです。千代田区ではトイレは4−5時間待ちとなるそうです。特に女性の方への対策が必要です。また帰宅マップも、震災後は町の様子が全く変わってしまい、通れる道も通れなくなっていることも考慮する必要があります。また昼の風景と夜の風景も違っているので慣れない道では迷ってしまう事もあります。帰宅難民はなるべく帰宅しないで、近くの被災者を助けることも必要ではないでしょうか。災害時には被災者が被災者を助けることになるのです。

C. 避難所難民
中央防災会議の首都直下型地震被害想定によれば、東京湾北部地震が最悪のタイミングで発生した場合(冬の午後6時、風速15m)、家屋倒壊、火災などで東京都、神奈川県、埼玉県を中心に約700万人の避難者が発生すると、想定されています。そのうち240万人は親類や知人宅へ避難するにしても、残りの460万人は避難所での避難生活を余儀なくされます。しかし、460万人という数字は名古屋市の人口の2倍です。単純計算して東京ドームの12個分のスペースが不足するのです。結果、避難所難民が265万人出ると想定されています彼らはどこに行ったら良いのでしょうか?さらに避難所に指定されている公園の回りの家屋が燃えていたり、古い小学校などは耐震性の問題があり安全とは言えない場合もあるのです。大きい会堂を持つ教会などは是非、
場所を解放していただきたいです。
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crashkazu@gmail.com (栗原)

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